風に乗って届く あなたのいのちの叫び声

 

拷問を受けている人でも こんな声は出さないんじゃないかという程の

 

恐ろしい 恐ろしい 叫び声が 木霊する

 

きみが ポツリと小さな 虚構の砂場で 懸命に小さなお城を作る

 

それを ある人が どたどた帰ってきて きみに言う

 

「あっちに素敵なお城があるよ!見に行こう!」

 

今や きみが作ったお城は その人の足の裏に ぺちゃんこにされている

 

きみはもう それにも気が付かず 新しい煌めきを 探しにゆく

 

その道中 きみは 小さな子どもに出会ひ

 

小さな子どもに ある人がくれた飴をあげる

 

小さな子どもは喜んで きみは満足して また煌めきの方向へ歩き出す

 

その小さな子どもが その飴を食べて きみのすぐ後ろで

 

倒れて 死んでしまったことにも 気が付かず

 

きみは前にいる 煌めきに満ちた ある人の背中を追いかけてゆく

 

その人が 知らぬ間に 別の人に代わっていたことにも気が付かず

 

そしてまた ハリボテのような お城を見て 喜んで記念撮影をし

 

一瞬にして ある人は現前から消え きみは気がつくとまた

 

ひとりぼっちで 砂場に取り残され

 

遥か彼方の深い記憶にあるお城を せっせせっせと 作り始める

 

 

 

生きとし生ける全てのものたちが あなたに語りかけるが

 

あなたはもう気がつくことはない

 

それでも今日も いのちの灯は

 

懸命に光り続けている

 

生きている

 

ぼくは 生きている

 

灯は 希望は 未来は

 

諦めないものにしか 見えないのだから

 

 

 

itsuki minami