政府が腐敗するのはなぜ?

政府が腐敗するのはなぜ?

二週間の間、アフリカはウガンダの農村で、水道無し電気無し時間無しの自給自足生活をしてきました。自給自足生活を実際に体験するのは僕のやりたいことの一つでした。

とてつもなく、素晴らしい時間でした。スローライフは僕の心を救ってくれます。

そんな生活の中、村の学校で運動会を開催しました。そこで感じたことを今日は書こうと思います。

今日の記事は、国際協力系に興味がある人は絶対読んでおいて損のない記事だと思います。

政府が腐敗する物語

アフリカに来て、よく聞く言葉トップ3に入るくらい、たくさんの人が口にする言葉があります。

「政府が腐敗してるから、ダメなんだ。」

「この国の一番の問題は、政府が腐敗していることだ。」

とにかく政府が腐敗しているということを強調してきます。そして、「だからどうにもできないんだ。」という言葉が続きます。

おそらく、「政府が腐敗している」これは間違いなく事実なんだと思います。汚職がたくさんあったり、軍隊を制圧していたり、三権分立など全く成り立たず、メディアも腐敗し、選挙も不正だらけ。どんなに国民が声をあげようと変わらない。これは間違いなく多くの国で実際に起こっている事実なんだと思います。

そして僕はこう聞かれます。

「日本はなぜ政府が腐敗しないの?」

日本の政治もたいがいだと思ってますが、アフリカの国と比べると一応マシなので、僕は、だいたいこう答えてきました。

「要因は沢山あるけれど、やっぱりメディアが細かく伝えていることと、一度戦争という失敗をしたことが大きいんじゃないかな。」

しかし、一見政治腐敗とは全く関係がなさそうな「運動会」をやって僕の答えは大きく変化しました。

運動会での出来事

運動会という文化は、アフリカにはなく、勿論僕らが滞在していた田舎村にはあるはずもありませんでした。僕たちは初め全校生徒50人くらいの小さな学校で小さな運動会をやろうと思っていたのですが、いつのまにやら話が勝手に膨らみ、他の学校も合同で、結局全7学年300人規模でやることに突然なってしまいました。こりゃ大変です。

まずはチーム分け。300人を4チームに分けて、それをさらに高学年と低学年に分けることにしました。チーム分けすらも、現地の学校ではかなり難しいことです。僕たちは学年ごとに一列に並んでもらって、地道に一人一人順番に四色のマーカーペンで腕にしるしを書いていくことにしました。しかし、なんと驚くことに、早くもここから「騙し合い」が始まりました。四色は「青」「赤」「緑」「黄色」でした。ウガンダでは、マンチェスターユナイテッドやリバプールの人気が高く「赤」は「強い」というイメージだそうで、人気が高いです。「黄色」はウガンダ政府のイメージカラーだそうで、皆が嫌うそうです。何が起きたのかと言うと、頭の賢い高学年の力持ち男子たちが結託し、僕らの動きを見て、四人間隔で並び始めたのです。僕らはなんとなくそんな人がいるかもしれないとは気づきながらも、まあ大丈夫だろうと思って見過ごしていました。しかし、後々、ここでどれだけズルをしたやつがいたのか判明します。そんな高学年の連中以外にも、たくさんの低学年の子たちも、自分が好きじゃない色だったからと言って、もう一度並びなおし、「私たちまだ色付けてもらってない」と片腕を隠し、色がついてない腕を見せて「赤にしてくれ。」と言ってくるではありませんか。普通に僕らを騙そうとしてくるのです。僕はこの時点で呆れ始めます。僕たちは教師も色を分けてチームを指示したり仕切ったり参加したりしてほしいと考えました。そしてそれぞれの色に二人ずつ先生についてもらいました。教師たちにちゃんとオーガナイズしてくれと頼んでも教師たちも「自分の色」が付いた瞬間から「騙し合い」を始めたので無意味でした。

第一種目は「棒&タイヤ引き」です。一列にスタートラインに並んだ時、驚きました。「赤」チームだけがあり得ないくらい大きい子供が多いのです。やったな~と思いました。「赤」のチームの教師は「赤」に有利になる不正は黙認します。「青」の教師は怒っています。教師が子供より子供みたいに怒っています。僕らも管理しきれないので、不正はどんどん行われます。例えば、棒引きで他のチームから力持ちを呼んできて自分のチームに参加させたり、相手が完全に取り切った棒を見てない間に盗んだり。でもそんなのお構いなしです。自分のチームに有利になるのなら教師は黙認しますし、自分のチームに不利になることには凄い剣幕でキレます。

第二種目は綱引き。みんなが参加できるように人を選んで!と言ったのですが、「赤」チームはガタイのでかい屈強な男たちをそろえてきました。「赤」の教師はニヤニヤが止まりません。一方それに何とか対抗したい他のチームも「みんなが参加できるように」とかどうでもよくなって、選抜チームを作ってきます。もう僕らからしたらどーでもいいので、とりあえず人数だけ合わせて試合をしました。これも勝敗に納得いかない教師も生徒も抗議の嵐。も~喧嘩。

三種目はリレー。それぞれの学校のそれぞれの学年から一人ずつ選んでくれと言ったのに、教師たちは自分の学校からばかり人を選びます。タイヤが四つ角に置いてあるからその外側を回れと言っても、勿論そんなルール守るはずもなく、秩序は無くなり、応援生徒はどれだけ言ってもレーンになだれ込んできて相手の行く手を阻もうとします。女子リレーはあえなく途中で終わり、誰も順位など分からない状況に。男子リレーはちょっと対策したけど、結局ワケわからなくなり、終了。抗議と喧嘩の嵐。

これらから、見えてきたことを簡単にまとめると、

・自分のチームに有利になる不正は黙認するし進んで行う

・相手チームが不正して自分のチームに不利が生じると凄い剣幕で怒る

・相手チームが不正しても自分のチームに不利が生じなければ気にしない

これらをするのが、一人や二人でなく、ほぼすべての子どもや大人が普通にやるのです。

しかし問題はここからです。

それでもみんな結局めちゃくちゃ楽しそうなのです。日本では一度揉めるとその日一日気分が悪くなるみたいな人ばかりです。しかし、ここの人たちは、さっきまで怒ってたかと思えば、最終的にはみんなめっちゃ楽しそうなのです。

これは文化の違いでしょう。もうそれで楽しいなら、それでいいんじゃない?とも思ったんですが、でもやっぱり考えた末に、日本のようにちゃんとオーガナイズされ、ルールを守り相手を称えることができれば、もっともっと面白くなるのは間違いないのではないか、という結論になりました。

腐敗が文化

さて、この運動会から一体政治に繋がる何が分かったというのでしょうか。

まず思ったのがこれです。

「政治家が腐敗しているとか、政府が腐敗してるとか、みんな口をそろえて言うけど、そもそも国民みんなが腐敗してんじゃん。」

ということです。

腐敗と言う言葉を人間に使うのはイヤですが、「corruption」をうまく日本語にできないのでしかたなく「腐敗」という言葉を使っています。

つまり、みんな言ってることが超矛盾しているのです。

「政府が腐敗している原因は、国民全員が腐敗しているから」

みんなみんな人を騙しても、ズルをしても平気ですし、自分の利益が第一です。

これは文化です。日本人には考えにくいかもしれませんが、これが、文化なのです。政治が腐敗している原因なんてもっともっとたくさんありますが、僕はこれが結構大きな原因だと思うわけです。

日本が奇跡的なだけ

これから僕が「日本はなぜ政治が腐敗しないのか」と聞かれたらこう答えます。

「日本には昔から、人を騙すのは悪い、相手に敬意を払うべき、正直である方が得をする、たとえ負けても正直で誠実で諦めないものが褒められやすい、という文化があるから。日本人の多くが、この文化を大切にしているから。」

日本のこういう考え方、文化が僕はとても好きだということを改めて実感しました。

こういった文化の違いが生まれたのは文化人類学や世界地理や歴史の話になってきますが、日本がずっと独立国(GHQ占領時代は半)で島国であり、アフリカの国のほとんどが植民地だった歴史があることなどを考えれば、見えてくるはずです。

この文化を見て、政治の腐敗については、もはや諦めを感じましたが、それでもこの状況を理解して、変えなきゃいけないと強く感じている若者にも出会いました。少なからず希望も感じました。さあどうなっていくか。

「腐敗」の使い方はくれぐれも間違えるな

最後に、今回他に言葉が見つからなかったので「腐敗」という言葉を使いましたが、絶対に勘違いしないでほしいのが、人間に対して「腐敗」とか「腐る」と言う言葉を使うのはあまりよろしいことではありません。使ってもいいとは思いますが、忘れないでほしいことがあります。それは「人間の精神が腐りきるということは絶対にない」ということです。

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