忘れようオリンピック。進もう未来へ。

忘れようオリンピック。進もう未来へ。

『 忘れようオリンピック。
進もう未来へ。』

東京オリンピックの閉会式を見ながら

 2020東京オリンピックが、今、終わろうとしています。

 猪瀬直樹氏をはじめとした招致メンバーたちが見た夢は新型コロナウイルスによって儚く終わらされました。或いはこんなウイルスが来ていなくても、それなりに物悲しいオリンピックとなったでしょうか。

 近代オリンピックは、まさに近代を象徴とするスポーツの祭典であり、政治的な意味もとても強いものです。

 今回、私たち日本人がこのオリンピックで日本中そして世界中に示すはずだった未来の青写真は、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」といったグローバル社会を取りなすトレンド的文句で表現されるにとどまりました。

 日本ならではの未来への提言は何一つといって無く、全く表現されず、ただ「なんとなく」過ぎていく日常の一コマとして今回のオリンピックは終わったような感じです。

 とはいえトップアスリートが見せた「本気」がたくさんの人の心を打ったのは間違いないでしょう。私は開閉会式も含め様々な競技を見て、とても楽しみました。「スポーツの祭典」としての役割は十分に果たしたはずです。しかしそれは、日本でなくても創造されうるオリンピックの既定路線に過ぎませんでした。

 国内の構造改革さえもままならないチン日本が、国民の血税を大量に投入して、大赤字を繰り出し、市場を荒らしたツケはゆくゆく響いてくるはずです。

日本に突き付けられた現実

 今回のオリンピックで僕が一番注目していたのは陸上の4×100mリレーでした。

 陸上競技は、唯一「近代」における「弱者」が対等に戦えるという意味で、脱近代的なスポーツと言えます。オリンピックのほとんどの種目が、お金が無いとできないもしくは強化できない競技ばかりです。

 例えば日本が今回ぶっこんだ野球なんて、お金の無い国が弱くなりやすいに決まっています。当たり前のように、「アメリカ」「韓国」「日本」と中南米数か国だけで金メダルを争いましたが、一体全体なにが「インクルージョン」でしょうかアホらしい。

 近代とは何かについては僕の前の連載を読んでもらいたいですが、オリンピックは「先進国」及び近代の勝者の道楽に過ぎないのです。先進国の多くは国家をあげてメダルの「数」を競っています。なんとも空虚な話です。

 本当にスポーツの力や魅力を、国境を越えた心の繋がりに感じているのならば、全世界の人が金や門戸に関係なく、輝けなければいけないはずです。

 そういう意味で、オリンピックには限界があります。

 さて、それを踏まえて、日本は何をこのオリンピックで示さねばならなかったのか、若者は再考してほしいとも思います。

 話はそれましたが、まさに、今回のオリンピックを総括してくれたのは、近代から抜け出たはずの競技である陸上の4×100リレーでした。

 日本は金メダル候補であり、僕もとても楽しみにしていました。しかし、今大会では陸上短距離勢がことごとく絶不調。

 その流れ通り、4×100mリレーは「失格」で幕を閉じました。

 日本は、近代から抜け出た競技の象徴たる種目で「失格」を突き付けられたのです。

 これが、今回のオリンピックの総括であったと思いました。

 「近代の延長」として駆動し続けている日本社会を表現した大会であったと、言えてしまうでしょう。

 そして、「なんとなく」日常の一部として過ぎ去ってしまったせいで、このオリンピックが国民の意識を変え、社会全体を変えていく契機とはなり得ませんでした。そういう意味では、2020東京オリンピックは完全に「失敗」だったと言えるでしょう。

万博に向けて走り出せるか

 日本社会を変革するための契機として、オリンピックは完全に失敗しました。

 コロナのせいで時が止まってしまった日本には、まだ、早すぎたのです。

 さて、そんな中で、もう一度、国民全体で何かを目標にスクラップアンドビルドしていくために、僕は「万博」が重要だと思っています。

2025年に大阪で開催される万博で掲げられているテーマは

「いのち輝く未来社会のデザイン」

です。

 私たち若者が、ここに向けていかに「脱近代」を前提にしたイノベーションを起こしていけるかが、僕らが生きていく時代を決すると言っても過言ではないのではないかと考えています。

 イノベーションを起こすカギは、「何者」でもない私たち一人一人が、脱近代を念頭に置いて、手を取り合って前を向いて生きてゆけるかです。 

 そのためには、あなたが何か革新的な技術を開発しなきゃいけないわけでもないし、インフルエンサーになる必要なんてさらさらありません。目の前にいる人と誠実に接して、世に隠れた悪を注意深く疑い、「生きる」ということを大切にしさえすれば、大きな変革が必ず訪れます。

 オリンピックはもう日常の一コマとして忘れ去ってしまって、パラリンピックを見つつも、もう一度目線を前に向けて、次は若者だけでも、一致団結して、進んでいかねばなりません。

 いのち輝く未来社会は何処に。

 あなたの生きる時代は、これからです。

( お わ り )

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